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" あなたと私に関する3つのK" written by 杏子 |
「例えば、速水さん。
カッコいい、顔がいい、キザ」
”褒めているように聞こえないな。中身がないみたいじゃないか” 「褒めてますよ。充分。人の言うことは素直に聞きましょうよ。 はい、速水さんの番」 ”すっかり君のペースだな。まぁ、いいが……。 駆け引き、警戒、掛け算。君の苦手なものだ” 「何それ。最初の二つはともかく、最後の一個、余計!」 ”得意なのか?” 「知らないっ!!もう、意地悪……。 じゃあね、私も速水さんの嫌いなもの。 角砂糖、缶詰のみかん、缶切り」 ”……” 「速水さんいっつも、手つけないで残すでしょ。コーヒーに添えられた角砂糖も、デザートにくっついてきちゃったみかんの缶詰も」 ”それはそうだが、最後の缶きりはなんなんだ?” 「え、だって、いっつも缶開けるとき、私にやらせるでしょ?」 ”それは君が、缶切りで缶をあけるぐらいしか、出来る料理がないからだ” 「ひっどぉぉぉい!!」 ”違うのか? 食べ物でいいんだったら、君の好きなものぐらい、俺はいくらでもあげられるぞ。 ケーキ食べ放題、数の子、柏餅、きんぴら、カステラ、カツ丼、から揚げ、カレー……” 「3つでいいです!3つで!! じゃぁね、案外速水さんが内緒でやってそうなこと。 賭け事、影でこそこそ誰かの尾行調査、口移し」 ”なんだ?最後の一個は?いや、二つ目も聞き捨てならないぞ” 「身に覚えないんですか?」 ”ノーコメント……” 「あ、逃げてるし。次、速水さんだよ、そろそろネタ切れ?」 ”隔靴掻痒、狂言綺語、狐疑逡巡” 「?????」 ”君の知らなそうな四文字熟語だ” 「速水さん、すっごい意地悪。そうやって人のこと馬鹿にして楽しい?ねぇ、楽しい?」 ”君と話すのは楽しいよ” 「上手く、誤魔化しましたね。いつものことだけど……。 適わない、悔しい、これ速水さんへの正直なあたしの気持ち」 ”一つ足りないぞ” 「だって、あとの一個は”恋しい”だもん。これ言ったら、悔しいもん」 ”悔しいのか?” 「うん、だって、あたしばっかり、好き好き言ってて、悔しい」 ”……好きだよ” 「あ……、ども……。いきなり言われても照れるし……。 速水さん、綺麗な言葉も言って。私に大事にして欲しいものは?」 ”今日、黒い髪、観客だな” 「……うん、お客さんも今日も大事にします。 大丈夫、あたし髪の毛茶色くなんかしたりしないし。 速水さんにとって大事なものは?」 ”君、北島マヤ、恋人” 「速水さん…、それ全部一緒だよ」 ”分かってて言ってるんだから、突っ込むな” 「苦しい、哀しい、孤独。 あたしが、全部いっぺんにはもう二度としたくないこと」 ”そんな思いはもう二度とさせない。俺が約束する。俺が……、守る。 君が今、したいことは?” 「う…ん、今、したいこと……。 えっと、恋がしたい、それから……。 …ん…っ、ちょ、ちょっと、はや…みさん、何?イキナリ」 ”キスしたいって、顔に書いてあった” 「もう……。書いてないよぉ」 ”書いてあった。 それから最後の一個は俺が言う” 「?」 ”結婚しよう” 6.1.2003 人様に書いていただいてばかりで、自分でちっとも手をつけていなかったこの30のお題 の未書タイトルを見てて、なんだか一つだけ異様に浮いていた『3k』。なんとか、ならないかなぁ と、とにかくカ行の単語やら言葉を思い浮かべているうちに、思いついた二人の言葉遊びです。 会話だけのお話って、一度は書いてみたかったのですが、心理描写が出来ないので、実は難しいのね。 台詞だけだから楽だと思ったのに、アサハカでした。 どっちでもいいようなお話ですが、どうしても30のお題を埋めたかった私の苦しい遊び心だと思って、見逃してやってくださいませ。 |
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