28 記憶
記憶の彼方
written by 風子
今日の涙はいったい何
頬をつたう冷たい雫はいったい何故・・・?



愛する貴方がそばにいてくれるのいうのに・・・
貴方が限りなく私に微笑んでくれるというのに・・・



でも今日の涙は何かが違う



凍てついた氷が解けていくように・・・
流氷がゆっくり氷塊から流れ出し
海へと帰っていくように・・・



悲しみも苦しみも涙となり流れていく・・・
辛い思いさえ解けていく



貴方の熱い眼差しに溶かされ
涙へと漏れていく・・



この涙は辛くて切ない思い出の結晶
凍てつく私たちの心が調和し涙となり
あふれ漏れ出でる



堕ちていく
二人の哀しい物語



暗夜に輝く無数の星屑が星雨となり
海へと注ぎ海闇へ光を放ちはじめている



マリンスノーのように海面をうめつくし
瞳の中に眩しいくらいにきらめいている・・



波音の囁きだけが聞こえてくる・・



夜風が海の薫りと共に私達を優しく包みこむ



ただ静かに美しく時が流れていく・・・・・



同じ世界を見詰め、同じ音色を貴方と感じられる瞬間
二人きりだけのこの空間・・




これが幸せという意味なのね・・




怖いくらいの幸せもが、涙を自然と誘いだす・・



幸せなのに涙がでるなんて・・




そう、教えてくれたのも




いつも貴方だったのね





貴方ももしかしたら泣いているの・・・?

それは私と同じ涙・・・?



私達は同じ涙をいつも流していたのね・・
私の涙と同じだけ
貴方は心の涙を流していたのね




私達の涙を星屑と共に無限の海へと帰していこう・・



とどまる事のない波間へと帰していこう・・・



この涙は波の狭間に解けあい神秘の水と生まれ変わり
静かに波うちながら私達に優しく語りかける



私達の心に帰って来る・・



波音に共鳴し重なり合う二つの魂が今ようやく一つとなり
荒れ果てて渇いた私達の心をたよやかに満たしていく



透明で穢れのない命の泉へと変えていき
愛へと生まれ変わる・・・



無限の愛へと形を変える・・・・





そして全ての記憶は夜空の星屑のように
染め上げ色褪せた私たちの世界を彩り創める・・・





私たちへの軌跡と共にゆっくりと・・・





これからはじまる二人の愛の物語               



2003.04.11



<FIN>














□風子さんより□
皆さん、こんにちは。風子です。
実はこれは涙の理由と共に平衡して書いてました。
悲しい涙だけで終わらせたなかったから・・
涙は・・喜び、幸せの涙にも変化しますものね
全てを記憶の彼方へいざない
新しく生まれ変わって清らかな心で歩んで欲しい・・
という気持ちで書きました。
でも難しくて・・実は一回諦めたのですが・・
再度トライしてみました。
私に力があれば前回の内容と結びつきながら 書けると思うのですが、なんせ私ですから・・・
かなり離れてしまって・・すみません・・

初めて読まれる方には分かりずらいかもしれません。
お手数ですが、涙の理由(わけ)をお時間のある時 見ていただけると少しは解釈が出来るかもしれません。
すみません・・

ちょっとこじ付けっぽいので、 いつもより更にお見苦しいかもしれません
二人がくっついたら・・・なんて予測的観測ですので 想像しにくいかもしれません。
私の願望です・・ごめんなさい。
長々と私心を読んで頂けありがとうございました。








□杏子より□
風子さんの30Storiesへのご投稿作 16:涙の理由 の続編というか、エピローグのような詩です。
流れるような文体はそのままに、ようやく『幸せの涙』を流せるようになったお二人のようで、感無量。
色々あって、涙も枯れるほどに流して、それでもやっぱり、ここまで辿り着いて欲しいものです。こういう涙なら、いくらでも見てみたいもんですっ!ぐすっ・・・。
風子さん、いつもステキな詩、ありがとうございます!





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