17 君は誰(解説編)
" 君は誰"
written by kineko

『きょうこ』こで君を待つ。
きょうもここで君を待つ。


開演前に君を訪ねるのはいつからの習慣だろう。
『コッコ』とドアをノックし扉を開ける。
まだ、子犬のようなあどけなさと
幻想世界へ揺ら『ぐ凛』とした姿
神が舞い降りたかのよ『お』な『敬』虔さが
君の中に入り混じり
眩しくて目の前が『チカチカ』する。
君が、そこに居るのか確かめたくなって
頬を包み込み、君の柔らかな唇に唇を重ねる。
『きょん』と少し驚いた顔を見せる。それが可愛らしくて
また接吻をする。
「体が『ふわふわ』してくる。力をくれてありがとう。」
『花、音』を立てて開くかのように鮮やかに微笑んでくれ、『プチャ』と
頬にキスを返してくれた。

「客席から君を見ている。」
そう言う俺に君は『楓』のように愛らしい手を優しく振る。
「見ていてくださいね。『速水』さん。」
愛しい人に見送られ、俺は部屋を後にする。



ロビーに飾られた大きな君の画、あれは『何号』だろうか。
これから舞台に現れるその姿を切り取られ写し出されたそれは、
自然とこれから目の前に現れる世界への煽情となる。
微かに聞こえるBGM。最近流行の『moony』のものか…
新しい、それなのに旧『友』に遭ったような懐かしさ。
漂う薫りは、たおやかに咲く梅を思わせる『香』。
艶やかに生けられた『蓮』。
全てがこれから始まる舞台への媚薬となる。

劇場内に人々の期待の波が高まる。
ざわめきの波が舞台に打ち寄せる。
俺は波の中、ただ君を待つ。
『きょうこ』こで君を待つ。

やがて『揚々』とした声が開演を告げる。
『しずか』に波が引いていく。

君は感じているか、この期待に満ち満ちた空気を。
春風が『樹』木や『里』の草花に、お起きなさいと
『風』が『子』の頬をなで、『ようこ』そ、出ておいでと誘うように、
皆が純粋に君が現れ出でるのを
待っている。

緞帳が上がり、君の姿が見える。
君は誰。
俺の愛しい人を『繭』で包み込み隠してしまった。
君は誰。
君の姿を待ち望んでいた人々に幸福の『恵み』与える女神か。
君は誰。
皆の愛しい人となる。
『さ』ぁ『やん』ごとない気高き世界へと
誘『わん』や『こ』の身を。

俺だけの君でいて欲しい。
そんな嫉妬もかき消してしまうほどの愛で
俺を包んでくれる。
君は全ての人々を包み込む。


君は誰。
舞台の上、皆の愛しい紅天女。
君は誰。
腕の中、愛しい『マヤ』。




6.6.2003



<Fin>





□kinekoさんより□
いかがでしたか?
やっぱり始めは杏子さまのお名前からと。

●号さまは何号としてしまいました・・・・
●号さまからチェック入るだろうな・・・・

かなりこじつけで文章としてはどうかなって気もしますが・・・
受け取っていただけて、遊んでいただけて嬉しかったです。
とっても、よろこんでいます。
ありがとうございました。






□杏子より□
ご投稿ということではなく、杏子のリフレッシュ用、頭の体操作品としてプレゼントして 頂きました。何度読んでも、新しい発見があったりして唸らされました。 結局最後まで見つからないのもあったわ。
それからそれから、
>『きょうこ』こで君を待つ。
のメッセージもしかと頂きました。じーーーん。
kinekoさん、いつもありがとうございます!!





30 Stories top / home