ESCAPE 2
written by cocco
報告に使っている、いつもの駐車場。

「こちらが、B社の資料です。」

そういって、A4サイズの茶封筒を真澄に手渡す。

「うむ。確かに。さすが仕事がはやいな。」

真澄は封筒の中身を確かめると聖に向かって言った。

「お褒めに預かり恐縮です。あ、あとこちらは本日、先ほどマヤ様よりお預かりいたしました。」

聖は先ほどの手紙と小さな包みを真澄へ手渡した。

「なん・・・!?おまえ今日、マヤと会っていたのか?」

顔をしかめながら、聖に問い掛けると

「ご報告せずお会いして申し訳ありません。マヤ様からお電話をいただき、紫のバラの人にお渡ししたいものがあると・・・」

そう答えると、少し口の端を緩めながら

「紫のバラの人にお礼・・・か。まさか、オレの手元に渡ってるとは思わんだろうな。」

一瞬淋しそうな顔をすると、その包みをそっと開けていく。

「これは・・・。」

聖も興味深々で、その中身を確かめると、中には「ESCAPE for men 」

― ああ、それであんなにもマヤ様は中身を聞いたとき照れていらっしゃったんだな。

真澄の顔をみると、その小さな小瓶を手に取ったまま若干顔を赤らめ固まっている。
その顔を見て、聖は小さく笑うと

「マヤ様、先日お渡しした香水をつけていらっしゃいましたよ。とてもよくお似合いでした。香水のせいなのか、それともマヤ様が大人になられたのか・・・。
とても、女性らしくて私もドキドキしてしまいました。さすが真澄様ですね。マヤ様にお似合いなものをよくわかっていらっしゃる。」

はっとし、真澄は顔を上げると

「そうか、彼女はあの香水をつけてくれているのか・・・。わかった、ご苦労だった。これからもよろしく頼む。」

そういうと、真澄は早足で自分の車へと向かっていった。


真澄は車のエンジンをかけると先ほどの香水をポケットから取り出し、眺めてみた。

― あの子は、わかっているんだろうか?
香水をプレゼントだなんて・・・。まぁ、最初に贈ったのはオレだからなんとも言えんがな。
その意味なんて、あの子にはわからないだろうな。
ましてやこの香水がオレに届いてるなんてこと、想像してもいないだろう。

紫煙を吐き出すと先ほど一緒に渡された、手紙の封を開けてみた。



『 紫のバラの人へ   

いつもいつも、紫のバラと応援をありがとうございます。   

おかげで無事、先日の公演も終了することができました。   

紫のバラの人も今回の舞台を見てくださったと、聖さんに聞きました。   

どうでしたか?あなたに満足していただけたか、それだけが心配です。   

今は、お芝居の依頼が何本かきているので、その中でどれにしようかとっても迷っています。   

すごいでしょ!?私にこんなに、お芝居の依頼が来るなんて・・・。   

すべて、あなたが支えてくださったおかげです。   

本当にありがとうございます。   

ぜひ、次のお芝居も見てくださいね!!   

それと、先日は素敵なプレゼントをありがとうございます。   

「ESCAPE」とってもステキな香りですね。   

香水なんて私絶対似合わない!って思って、つけるのをためらってしまったんですが友達が      

「似合う!」といってくれたので、毎日ちょぴっとずつ大事につけさせてもらっています。   

先日の舞台のギャラが入ったので、何かお礼がしたいなぁ?と悩んだのですが   

デパートへ行き、この香水がふと、目に入ったので立ち止まっていたら強引に店員さんに買わされてしまいました(笑)   

でも、おそろいの香水なんてちょっとすてきだな、なんて思ったのでお渡ししてしまいます!   

(あ、気に入らなくっても返さないで下さいね。)   

これからもがんばって、あなたに喜んでもらえるようなお芝居を続けていきます。   

どうか、どうか、これからもずっと見守っていてくださいね。                                 北島 マヤ           』




大事にその手紙を、封筒に戻すと先ほどの香水を、手首へつけてみた。

「おそろいの香水か・・・かわいらしいことを、言うもんだな。」

フッと微笑み、目を閉じた後、深く香りを吸い込んで、大きな溜息をひとつ、ついた。





「うわ・・・今日は、テレビか・・・。苦手なんだよなぁ。」

気が進まないまま、テレビ局へと向かい、1時間ほどのバラエティー番組のゲストとして出演した。
案の定、気の利いたことも言えないままのマヤだったが、ベテラン司会者の巧みな話術で多少なりともそれなりに受け答えをすることが出来た。

「ふぅ、やっとおわったぁ・・・。」

スタジオから、おつかれさまです、と声をかけながら楽屋へ戻ろうとしたとき―。

― あ、あの香り!もしかして?

きょろきょろして、回りを見てみたが探している香りの主は見つからなかった。

「そうよね、こんなところにいるわけないか。」

と、小さく肩を落とすと急に香りが近くなる。

「いやぁ、なかなか面白いものを見せてもらったよ。」

え?
びっくりして見上げるとそこには真澄が、今にもふきだしそうな顔をして目の前に立っていた。

「は、速水さん!何でこんなところにいるんですかッッ!」

彼に急に会ったことでドキドキしているのか、香りのせいでドキドキしてしまっているのかよくわからないけど、右手でぐっと心臓の部分を掴むように押さえながら ちょっと睨み気味に真澄を見上げた。

「まあまあ、そんなに怖い顔をするな。ちょっと用事があって、スタジオに来ていたんだ。」

― あたしが贈った香水、つけてくれてるんだ・・・。

そう考えると、顔が火照ってくるのは気のせいではないだろう。
そんな表情を見られたくなくって。
まだ笑いがおさまらない真澄を、それでも睨みつけながら

「失礼しますっ!」

と赤くなった顔を悟られないように俯きながら、マヤは駆け足でその場を立ち去ろうとした・・・その時。
真澄の鼻を掠めた、甘い香り。

そう、あの時贈った「ESCAPE」・・・。
真澄の横を通り過ぎるとき、かすかに二つの香りが絡み合う。
マヤが、はっとした顔で足を止め真澄の顔を見つめる。

― 気付いたか?いや、気付いたとしてもまさか自分が贈ったものだとは思わないだろう。

背中に少し汗をかきながら、マヤを見つめ返すと

「どうした?チビちゃん。なんだ、言い足りないことでもあるのか?」

そういつものように話し掛けると

「い、いえ。なんでもありません・・・」

いつものマヤの勢いはなく、俯きながら耳を赤く染め、ぼそぼそと答える。
そんな様子を見て、真澄はふっと笑い

「そうだ、チビちゃん。この後、他に予定は入っているのか?もしないのなら、食事でもして帰らないか?」

その問いかけに、何か一言言ってやる!といわんばかりのジト目でマヤが顔を上げた途端・・・
おなかの虫がギュルルルルルルルゥーっと騒ぎ始めた。
それを聞いた真澄は、背中を折り曲げて大笑いしながらマヤの頭に、ぽんぽんっと手を置いて

「よしよし、じゃぁ、おいしいものでも食べて帰ろうな?」

顔を真っ赤にしたままのマヤを、車へに乗せた。


車内には、意識しなくても二人の香りがかすかにまざりあっている。
お互い、意識しないように明るい話題を、と振ってみるがどうも長続きしない。
ぎこちない感じのまま、食事をするレストランへ車は到着した。
食事をとりながら、話をしはじめると幾分マヤの緊張も解けたのか、いつものような会話をしはじめた。
それは、舞台のことや日常生活の失敗談、大きな目を輝かせ、くるくると表情を変えながら一生懸命話していく。
それに、真澄も時折、ふきだしながら話を楽しく聞いていた。
どれくらいそうしていただろう?
時計を見ると、もう22:00をさしていた。

「さぁ、そろそろ帰ろうか。」

マヤも満足したのか、幸せそうな顔をして

「はい、ごちそうさまでしたぁ!おいしかったです!」

と満面の笑みを真澄に返した。
駐車場へと二人で歩いているとき

「チビちゃん、今日は香水なんてつけてどうしたんだ?」

真澄がからかうようにマヤに問い掛けると、またマヤは俯いてしまい黙りこくってしまった。

「い、いや、そう、特に意味はないぞ?それに、ほら、この香りキミによく似合ってる。」

俯いてしまったままのマヤにしまったと思いながら慌てて真澄は声をかけると、

「・・・本当ですか?似合ってますか?」

と、潤んだ瞳で見上げてきた。
そのまま、マヤは一歩真澄より前に出ると真澄に背を向けたまま、話しはじめた。

「これ、ね。紫のバラの人にいただいたの。最初いただいたときはね、私に香水なんてって思ったんだけどでも、紫のバラの人が選んでくれた香水・・・。
麗も似合うっていってくれたし。それでね、こないだそのお礼と思ってこれと同じシリーズの男の人用の香水を贈ったの。」

マヤはゆっくりそこまで、話すと、少し間を置いてから

「速水さん、今つけてる香水なんですが・・・それって、『ESCAPE』ですよね?」

と、突然言い出すものだから、真澄は首筋にじわりと冷や汗のようなものをかいた。

― どういう意味だ?キミは気付いていてそれで・・・。
いや、まさかな。このオレが、紫のバラの人だなんて思ってもいないだろう。
少々、迂闊だったか?この香水をつけて、キミに声をかけたのは。

「あ、ああ。そうだが・・・。」

詰まりながら答えると、マヤは振り返り真澄の目を涙をいっぱい貯めている瞳で見つめるものだから真澄は思わずぎゅっと心臓を握りつぶされるような気持ちになる。

・・・苦しい。見つめられただけでこんなに息苦しくなるものなのか?そんな瞳で見られたらオレはどうしたらいいんだ?
真澄はそれでも、目をそらすことも出来ず、マヤと見詰め合っている。

マヤは、涙をこぼすまいと下唇を、ギュっと噛み締めながら、それでも真澄から瞳を離さない。
・・・速水さん、あなたなんでしょ?紫のバラの人は。私が贈った香水、つけてくれてるんでしょ?お願い、何か言って―。

互いが見詰め合ったまま、どれくらい経ったのだろうか?
耐え切れず、真澄が先に目をそらした。

「・・・チビちゃん、どうしたんだ?一体。ほら、送って行くから、車に乗りなさい。」

真澄がマヤの手をひいて、助手席に押し込もうとすると突然その手を振り切って、マヤは走り出そうとした。

― やっぱり、何にも言ってくれない!どうして何も言ってくれないの?
もう、この場から逃げ出したいっっっ!!!

「ほっといてください!こっからなら歩いて帰れますから!!」

とうとう、涙を瞳からこぼしその顔を見られまいと走り出そうとするマヤを後ろから、真澄が追いかけてその手を、思い切り引っ張る。
その拍子に、マヤが真澄の腕の中へと閉じ込められた。

「どうして、キミは泣くんだ?お願いだ、そんな悲しい顔はしないでくれ・・・。」

マヤを抱きしめた手に、無意識に力が篭っていく。
まるで自分から逃げ出せないように、そして少しでもお互いの体の隙間を埋めていくように。
・・・だめだ。理性が呼びかけるが、体が言うことを聞かない。
わかってはいるものの、その手はマヤの顎へと手をかけている。
唇で涙をついばむと、そのまま、その小さな唇へと自分の唇を滑らせた。
柔らかなその小さいながら弾力のある唇は、重ねるとピタッと吸い付くようだ。
舌と唇で閉じられたその唇を開こうとすると、舌には何かの蜜が絡まったかのような甘さが感じられる。
何をやっているんだオレは!
抱きしめていた腕を緩め、慌てて唇を離そうとすると、マヤの腕が真澄の首をぎゅと、引き寄せる。
驚いてマヤの顔を覗き込むと、熱っぽい瞳で真澄を見つめている。
おそらく真澄にしか聞こえないであろう、掠れた小さな声でマヤは囁く。

「帰りたくない・・・。」

― この子は、意味が分かっていってるのだろうか。
そんな目で、そんなセリフを男に向かって言ったのならばどうなるってことが分かってるのか?
・・・どちらでも、いいじゃないか。
今、オレに向かってこうして言っているんだ。
分かっていて言っていたとしても、分からずに言っていたとしてもそんなことはたいした問題ではないのではないか?
これ以上、我慢なんてもう出来そうもない・・・。
マヤと見つめあったまま、真澄は黙って考えていると
それを見たマヤは

― ほら、あたしがこんなこといったから速水さん困っちゃってるじゃない。 そう、紫のバラの人だって女優の私が好きなワケで。
速水さんが私のこと商品以上になんて思ってくれるわけ、ないじゃない。
今のキスだって、なんとなく成り行きでしたもので、大人の速水さんには特に意味があるわけじゃないんだ。
マヤは、眉間にきゅっと皺をよせ、それでも口元だけ上げる形でフッと微笑み、真澄の首にかけていた腕を解くと、

「やだなぁ、速水さん冗談ですよ。そんなに困った顔しないで下さいよ、だいたい・・・っん!」

先ほど力を緩めた真澄の腕は再度、マヤの腰をぐっと抱き寄せ、その唇を強引に、まるで噛み付くかのように奪った。
そのまま、その小さな顎を軽く噛むと舌を滑らせ、細い喉元に吸い付いた。

「やっ、やめて!速水さん!な、なにするんですか!?」

そういわれると、真澄は強く抱いていた腕の力を少し緩めそれでも、そこからマヤが逃げ出せないように抱きしめたまま顔を見下ろした。
目に映ったものに心臓を掴み出されてしまったようだ。
頬を赤らめて潤んだ瞳がまるでシーソーの真中にいるかのように不安定に揺れている。
その小さな体からはこぼれそうな甘い香りが仄かに漂っている。
あぁ、そうか。オレが贈った『ESCAPE』。
真澄はそっとマヤの耳元に顔を埋めると、その甘い香りを胸いっぱいに吸い込む。
そのまま耳元へ唇を寄せると

「だめだ。そんなことを言ったって。帰りたくないと言ったのはキミの方だろう?今夜は、もうキミを帰せそうもないな。」






車の助手席側のドアを開けるとそこへマヤをそっと促す。
真澄は運転席側へ座ると車を発進させ、そこから一番近い高速の入り口へと向かった。
助手席のマヤを見ると、俯いたまま肩を震わせている。

― まずかったか。だんだんと冷静になってきた頭で真澄は思った。
やっぱり、この子が帰りたくないなどと言葉を発したとしても一般的にそれがどういう意味を持つ言葉かを理解して言ったとは思えない。
この子が帰りたくない、はそのまま言葉の意味通りただの帰りたくない、今、帰りたくない、それだけだったに違いない。
今日のところはまっすぐ送り届けるか。
のったばかりの高速を、すぐに一番近い出口で降り、マヤのアパートの方面へと車を進める。

「・・・速水さん、どこへ行くんですか?」

車に乗ってからずっと下を俯いていたマヤが、初めて顔を上げ真澄を見る。

「キミのアパートだが。どうした?そんなに小さくなって震えて。安心しろ。誰もキミみたいなお子様とって食いやしない。」

そういって真澄はフッと笑うとそのまま、また黙ったまま車のスピードを上げた。

― お子様か。そうよね。速水さんにしてみれば私なんて、子供もいいところだよね。
でも、さっきのキスはじゃあ、なんだったの?子供相手でも速水さんはあんな事するの?
マヤは人差し指で自分の唇をなぞりながら、目を閉じ、さっきのキスを思い出した。
胸の奥に、ふわっと広がった甘酸っぱいような痛いような、この気持ちはなんなんだろう?
こんなに胸が痛いのに、この気持ちが何でもないなんて思えない。
そしてそれに気付かないふりしてるなんて出来ない。
私はどうしたいの?
赤信号につかまって、止まった車内でマヤはカチッとシートベルトを外し真澄に顔を近づけると、その唇に軽く触れるぐらいのキスをする。

「今日は、速水さんのそばにいさせて・・・」

そういうと、ギアを握っている真澄の手に自分の手をそっと重ねた。
真澄はマヤの突然の行動に、目を大きく見開いて固まってしまっている。
後続車のクラクションで、はっと気が付き慌てて車を発進させ、マヤの手をギアと自分の掌の間に挟み、握り締める。



「さぁ、着いたぞ。」

ここは、大都芸能に近い都心のマンションの駐車場。
マヤはおずおずと車を降りると

「ここ、どこですか?」

当然といえば当然の質問を,回りをきょろきょろ見渡しながら真澄にした。
その様子を見ながら苦笑し

「ここは、オレのプライベートマンションだ。遠出をするのには時間ももう遅いし。さぁ、こっちだ。」

そう言い、マヤの肩に手をまわしエレベーターの方へと案内する。
肩に触れられた手が、熱い、と感じるのは気のせいだろうか?
マヤはその手を振り払う理由も見つからず,そのままの状態で真澄の部屋までと促された。

「お、じゃまします・・・」

玄関で靴を脱ぎ、隅っこの方へそろえるとそーっと、部屋の中へ入った。
そんなマヤを見て真澄は、フッと笑うと

「今、コーヒーでも入れるから。そこら辺に座っててくれ。」

そういうと台所へと真澄は消えてしまった。
マヤといえば、部屋を見渡しうわー、とか、ひろーいとか感嘆の声を上げている。
真澄はそんな声を背に受けて、なんだかくすぐったいような気持ちになり自然と微笑みがこぼれてきてしまう。
暫くしてコーヒーを手にした真澄がリビングへと来ると、二人でならんでソファーへと腰をかけた。

「ほら、ミルクと砂糖。お姫様は甘党だろ?」

ブラックのコーヒーを手にし、じっとカップの中身を睨みつづけてるマヤにポンっと手渡した。

「あ、ありがとうございます。」

マヤは緊張しているのか、声がどもりながらミルクと砂糖を受け取りカップの中に入れて、カシャカシャと勢いよくスプーンで混ぜている。
カップに口をつけ、コクリと小さく喉を鳴らしながら一口飲むと、ふぅっっと小さく息をはいた。

「おいしい!ね!速水さん!!」

コーヒーカップを小さな両手に包み込むように手にしたまま、首を傾げ真澄に笑いかける。
その一連の仕草に真澄はドキドキしながらも、努めて冷静な表情を作り

「そうだな・・・。」

とだけ答える。
二人の間にはコーヒーをすする音、それを飲み込む音しか部屋の中に聞こえない。
そうこうしているうちに、二人ともコーヒーを飲み干してしまい、暫くの沈黙が続いた。

優しく沈黙を破るように、マヤが真澄の肩へポンッと頭を預けてきた。
マヤの鼻を、あの香りが掠める。
あったかいな・・・・・。
ふと目を開けると、出窓の所に白いすりガラスの瓶・・・『ESCAPE for men 』を見つけ、はっとする。
そうだ、あたし大事なこと聞くの忘れてた。
でも、いいかな?もう少しこのまま幸せな気持ちでいても。
例え、速水さんが紫のバラの人だって名乗ってくれなくっても、今、ここで私と一緒にいてくれているのは事実なんだから。
そう思うと、急に体の力が抜けてマヤは体を真澄に預けた。



1.8.2003








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