| キラキラした風の中で…
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| written by 花音
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木漏れ日の眩しい日、私は速水さんから大都芸能の近くに
ある公園に来るように電話があった。
永遠の片思いの相手の速水さんからのアポイント。 私は飛び跳ねるくらい嬉しかった。 窓からさすキラキラした日差しを見ていると、 何かいいことがありそうな予感があった。 (結構私の勘もすてたもんじゃないわ・・・) 電話を切った後、私は急いで身支度をはじめた。 何着ていこう・・・。急げば急ぐほど何着てっていいか 分からなくなる。 (ほら、マヤ。ちゃんと深呼吸して。) もう1人の自分が焦っている私にささやいてくれる。 ドキドキして何も手がつかない・・・・。 どうしよう・・・・。 そんな時、この間ドラマでお世話になったスタイリストの 京香さんのことを思い出した。 (そういえば京香さんのおうち、ご近所さんだったよね・・・) 急いで私は京香さんの携帯に電話をかけた。 トゥルルル・・・・・ 「はい 京香です!マヤちゃんどうしたの・・・・」 「京香さん・・・。今大丈夫??」 「もち大丈夫よ。何てったって今日はオフだから・・・・」 「本当?実は京香さんにお願いがあって・・・・」 「なになに・・・私に出来ることかな?」 「多分・・・・・」 「焦らさないでちゃんといってごらん・・・」 「実はずっと片思いしてる人から、会わないかって連絡が 来たの・・・。だけど何を着て行ったらいいのか分からなくて・・・」 「マヤちゃん・・・・。私を誰だと思って!泣く子も黙る トップスタイリストの京香よ!これからそっちに行くから・・・ 待っててね」 「ありが・・・・」 お礼を言う間もなく電話は切れてしまった。 そして数分後・・・・ ピンポーン マンションの玄関には京香さんが待っていた。 「マヤちゃん 荷物沢山あるから一緒に持って上がって」 「はい・・・・」 玄関まで急いでいくと、大きな紙袋3つ置いてあり、 「マヤちゃん、ゴメン1つもって・・・・」 「すごい荷物だけど・・・・」 「お姫さまを変身させる道具 全部持ってきた」 私は京香さんの早業にビックリしていた。 部屋に着くなり 「マヤちゃん これは私からのプレゼント。」 そう言って差し出された物は、この間のドラマの衣装の 中で一番気に入っていたワンピースとそのワンピースに合う 小物一式だった。 「このワンピースとっても似合ってたもんね。ドラマの成功も 大成功したし、そのお祝いとしてこの衣装マヤちゃんの ために買ったの。だけど、こんなに早く役に立つなんて 思っても見なかったわ・・・・」 「京香さん・・・・・。ありがとう・・・・。すごく嬉しい!!」 私は京香さんの胸に飛び込んで泣いてしまった。 「ほら、赤い目してたら、心配されちゃうぞ・・・・」 「はーい・・・・」 京香さんの気持ちがとっても嬉しかった。 「ほらマヤちゃん、準備始めよ」 まずワンピースに着替えて、お化粧もしてもらった。 あまりの手際のよさに感嘆のため息・・・・ 「はい、出来上がり。マヤちゃんとってもきれいよ。」 「京香さん・・・スゴスギだわ・・・・」 「何が・・・・」 「私にはこの真似、絶対に出来ないわ・・・・」 「私を誰だと思って。泣く子も黙る・・・・」 「トップスタイリストの京香さまよね・・・・」 「よく分かってるじゃない・・・・」 私たちはお互いの顔を見合わせて大爆笑してしまった。 その声はどこまでも澄み切った青空へ響いていた。 仕度の出来た私に京香さんはあるものを手渡してくれた。 小さな四角い形をした金貨。 「きれい・・・・・」思わず私はつぶやいた。 金貨の表側には天女の絵が、そして裏側には 「萬事如意」と彫られていた。 「これね、台湾の有名なお守りよ。このね『萬事如意』 という言葉は物事が全て思い通りに叶いますようにって 言う意味で縁起のいい言葉なのよ。マヤちゃんの願い事 叶うといいね・・・・」 「ありがとう・・・・。何から何まで・・・・。」 私は思わず涙ぐんでしまった。 「ほら、泣かないの。願い事が叶ったら思いっきり 嬉し涙流しなさい・・・・。」 「そうする・・・・。願い事が叶うように、私頑張ってくる」 「そうよ、その意気よ。前向きに頑張った子には必ず 神様はごほうびくれるから。」 私は京香さんの力強い言葉に後押しされながら 待ち合わせの公園へと向かった。 待ち合わせの時間より早く着いた私は、ゆっくりと 公園の中を歩いていた。 眩しいくらいの木漏れ日、さわやかな風、街のざわめき すべてが新鮮に感じられた。 (うん。絶対これはいいことがある前兆だわ・・・・) そう思わずにはいられないくらい、私の心はときめいた。 ![]() 「マヤ!」 私はその声に振り向く。 大好きな速水さんの声。 速水さんは私の姿を見つけると、軽やかに走ってきた。 「ゴメン 待ったか?」 「ううん。そんなに待ってないから・・・・」 「そうか。それならよかった・・・。 マヤ・・・少し歩こうか・・・・」 「はい・・・」 「マヤ、今日はいつもと雰囲気ちがうな。すごくきれいだよ。」 「ありがとうございます。今日はかなり変身しておりますので・・・」 「君も相変わらずだな・・・。人がこうして誉めてあげてるのに」 「お褒めにあずかり恐縮でございます」 速水さんは苦笑いしてる。 私は私で憎まれ口を叩きながらすごくドキドキしている。 思わず京香さんからもらった金貨を握り締めて (大丈夫。落ち着いて・・・・・) と自分に言い聞かせていた。 「ところでマヤ、さっきから何を握り締めてるんだ?」 「あっ。これですね・・・・」 私はゆっくりと握り締めた手のひらを開き始めた。 「これね、願い事が叶うお守りなの・・・・」 「そうか・・・・。少し俺に貸してくれないか・・・」 「何に使うんですか・・・・」 「少しだけ勇気が欲しいんだ。ちゃんと返すから・・・・」 「どうぞ・・・・」 私は速水さんの手のひらに金貨をのせた。 そして速水さんはしっかりと金貨を握り締めた。 「マヤ、急に呼び出してすまなかった。びっくりしだだろう。 今日は君にどうしても伝えたい事があって・・・・」 「なんでしょう・・・・。嬉しいお知らせだったらいいのだけど・・・」 「今日、紫織さんとの婚約を解消した・・・・」 私はなぜ速水さんが紫織さんとの事を私に言うのか分からなかった。 「驚かないで聞いて欲しい。俺はずっと君に黙っていた事がある。 実は・・・・実は俺がいつも君に紫のバラを送っていた。 初めて君の舞台を見た時から俺はずっと君のファンだった・・・」 (やっぱり速水さんだったのね・・・紫のバラの人は・・・・) 「俺はずっと君のこと好きだった。俺は随分君にはひどい事を 沢山してきた。俺は自分の気持ちを君に伝える事がとても 怖かった。だから、君を忘れる為に紫織さんと婚約した・・・。 でももう自分の気持ちに嘘はつけない。だから紫織さんとの 婚約を解消した。俺は一生君への思いを抱いて生きていく。 そう決めたんだ・・・・・。」 速水さんは金貨を私に差し出した。 受け取ろうとした瞬間、速水さんは金貨と私の手を 強く握り締めた。 「マヤ・・・・結婚して欲しい・・・今すぐというわけには 行かないけれど必ず迎えに来る。だから・・・・俺の側に ずっといて欲しい。もし君が嫌と言うなら、無理にとは 言わない。でも俺は君なしの人生は考えられない・・・・」 (えっ・・・・) 私はまさか速水さんからそんな言葉が聞けるなんて 夢にも思っていなかった。 (お願い・・・私にも勇気下さい・・・・) 私はしっかりと速水さんの手を握り返した。 「速水さん・・・・私すごく嬉しい・・・・。 私ずっと速水さんのこと好きだった。あなたが紫のバラの人 だから好きになったわけじゃない。あなたはひどい事を 私に沢山したって言ったけれど、私のことを思ってしてくれた 事が運悪く悪い方向に行ってしまっただけ・・・・。 私、速水さんのこと恨んだり憎んだりしてないから・・・・」 私は嬉しくて気が付いたら涙が溢れていた。 「私、待ってます。何年かかっても何十年かかっても 迎えに来てくれる日をずっと待ってます。」 速水さんは私のことを強く抱きしめてくれた。 「魔法の金貨だな・・・・」 「ええ・・・。」 (ありがとう・・・京香さん・・・。この金貨のお蔭で 私やっと自分の思いを伝えられた・・・) 「私ね、今日はなにかいいことがあるんじゃないかと 思っていた。まさかこんなにいい事があるなんて 夢にも思わなかったわ・・・・」 「実は俺も同じ事思ってた。だから・・・・ 嬉しいよ・・・・」 速水さんは本当に幸せそうな笑顔をしながら 私を見つめている。 キラキラした風が私たちを包み込んでくれている。 「幸せになろうな・・・・」 「ありがとう・・・・。」 ![]() 半年後、約束どおり速水さんは私を迎えに来てくれた。 婚約発表の記者会見の席で、私は京香さんからもらった 金貨の話をした。 話題が話題をよび、その金貨は今では恋する日本中の女性の強い 見方となって行った。 そうそう、私は今日も何を着ていこうか朝からバタバタしていた。 でもすべてをお見通しの京香さんはちゃんと準備をして駆けつけて くれた。 もちろん、「私は誰だと思って?トップスタイリストの京香よ。」と イタズラっぽく笑って言ったのは言うまでもない。 1.14.2003 ![]() □花音さんより□ サイトオープンおめでとうございます。 杏子さんがサイトをオープンしたとガラスの楽園で知り、 すっかりめくるめく妄想劇場にどっぷりはまってしまった私は 何かお祝いする作品を・・・・と思っておりました。 そんな矢先に、どうしても「萬事如意」をモチーフになるような作品を 書きたくなって構想1晩、執筆3日(私とっても遅筆なの。。。。)で 杏子さんにお納めいたしました。縁起のいい言葉なので、 私の精一杯のお祝いの気持ちを作品に込めました。 こんなステキなサイトで私の駄文にお付き合いいただきました 皆さま、そしてこんなにステキに仕上ていただいた杏子さんに 改めて感謝でございます。 そして私の中での超カッコイイ杏子さんをイメージして、さりげなく マヤちゃんをサポートする「京香」さんとして登場していただきました。 これからもますますパワーアップする妄想劇場の発展を願っております ![]() □杏子より□ 楽園にてこれまた仲良くして頂いた、花音(カノンって読むの、かわいい〜♪)さまから、サイトオープン祝いに頂いてしまいました!! なんて、なんて、爽やかなお話なんでしょう。もうね、キラキラと眩しい太陽の光に射られて、杏子く〜らくら!でございます。 いやぁ、眩しいですねぇ。お二人が!!しかも、なんて縁起のいいお話なのかしら! おまけに、さりげなく京香さんなんていう、キャラまで出してくださっちゃって。しかも、とってもカッコイイお姉さま。グフッ。 花音さん、本当に!!ありがとうございました!! |
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