□□第5話□□





written by キティ

 

 
 

『忘れられるかも知れない。
きっと年月が経てば、心の中にいる好きな人のことが忘れられる。
そう思って、この2年近く桜小路君と一緒に過ごしてきました。
舞さんと別れて真直ぐ真剣に私に向ってきてくれる桜小路君を
もしかしたら愛する事が出来るかもしれない、と思っていました。
でも先日舞さんに会って、真実を話してくれなかった桜小路君をズルイと思った瞬間
ズルイのは自分だと、気づきました。
私が曖昧な態度だから桜小路君も舞さんも傷つけている。
他に好きな人がいても私を愛してくれるという桜小路君の言葉にすっかり甘え、
今日まで来てしまいました。

3日前のデートの時、桜小路君にどうしても「心の中にいる好きな人」のことが忘れられないので別れて欲しいと伝えました。
そしたら、君が好きな人は絶対振り向いてくれない、と言ったから二人で努力して忘れられるようになるまで頑張ろう…って話し合ったじゃないか!本当は僕のことが嫌いになったんだね?と言われて
「いいえ、違う…桜小路君は優しいしとても素敵な人だと思う。」
と返事をしたら
「中途半端な優しさはいらない。中途半端が一番傷つくんだよ。」
と、言われて初めて気づきました。
良かれと思って言った言葉が傷つけてはいけない人を傷つけてしまう。

そして恋人として「好き」か「嫌い」かはっきり言って欲しい、と言われました。

「好き」ならこのまま付き合う
「嫌い」ならここで別れる


だから答えました、「嫌い」だと。

涙が止まりませんでした。』


真澄はマヤの心の中を考えて自分も泣きそうになった。
マヤは今ごろどうしているのだろう?
1人マンションでまだ泣いているのではないだろうか?



そして「最後に読んで下さい」と書かれた封筒。
真澄は何度も驚かされたマヤからの手紙もこれが最後かと
何とも言えない気持ちで封を開けた。


『月影先生の三回忌の時、私は足首を捻挫をしています。
でもそれは「ウソ」です。
これでも考えたんですよ!三回忌に行かなくても済む理由を。
足の捻挫なら歩けないから梅の里に行けないし、数日休んだだけで復帰しても疑われなさそうだし。
直接会って手紙を渡そうと思ってましたけど、やっぱり速水さんに会うのが恥ずかしくてこの作戦にしました。ご心配かけて済みませんでした。マネージャーさんはこの事を知りません。だからウソついてた事、内緒にしてて下さい。

明日、梅の里に行きこの手紙を源造さんに渡すので、そろそろこの手紙も終わりにします。



速水さんへの最後の告白。

私、もう1つ ウソをついていました。

桜小路君に言った「心の中にいる好きな人」は、

速水さん…なのです。


ごめんなさい、迷惑なのは本当に分かっているつもりです。
でも桜小路君と付き合ってからも、どうしてもあなたの事が頭から離れない。
桜小路君と会っている時、「あぁこれが速水さんだったら」と思ってしまう。
月日が経てばそれが薄れるのだと思っていたの全然、そうならない。
おかしいですよね、私。

だから私も速水さんにきっぱり「嫌い」と言ってもらって新しい人生を歩みたい!
って思ったんです。
だって、速水さん、ズルイですよ。紫のバラのひととしても、そして速水さんとしても私を助けてくれた。私に勘違いをさせたのです。(ねっ、本当に八つ当りでしょ!)
だからどうか最後に曖昧な言葉でなく、いつもの冷血漢な速水さんで「嫌い」と言って下さい。お願いします。

私も桜小路君も舞さんも、今を一番楽しくて輝かしい時にしなくてはいけないのでは?
苦しい恋を持ち続けて過ごすなんて残酷だし、もったいないなぁ…なんて思った訳です。

そして再来週、私はドラマの打ち合わせの為、大都本社に行きます。
お忙しいとは思いますが、もし本社にいらっしゃるなら、その時でもいいです。
私の最後の願いを叶えて下さい。
                                  北島 マヤ』


真澄は今度は本当に泣いてしまった。




04.011.2006





…to be continued









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